Skills for Fabric 調査まとめ (2026-10版)

Microsoft の Skills for Fabric は、GitHub Copilot CLI や Claude Code などの AI コーディングツールに、Microsoft Fabric の操作方法を教えるオープンソースのスキル集です。本レポートは、概要、機能、導入方法、関連プロジェクト、留意点を、Microsoft Learn の公式ドキュメントを中心にまとめたものです。Fabric 全般用の fabric-skills と Power BI 用の powerbi-authoring の 2 つのプラグインで構成され、Power BI 用の一部はプレビュー段階です。

概要

  • 位置づけ: AI アシスタントに「Fabric を正しく扱う方法」を教える知識パッケージ(スキル)です。Fabric 全般用の fabric-skills と Power BI 用の powerbi-authoring の 2 つのプラグインで構成され、Fabric プラットフォーム全体を対象とします。
  • 提供形態: MIT ライセンスで、GitHub の microsoft/skills-for-fabric リポジトリで公開・管理されています。
  • 目的: ユーザーが成果を自然言語で伝えるだけで、エージェントが該当するスキル、ベストプラクティス、デプロイ手順を適用する体験を目指しています。

主な特徴

Skills for Fabric は、1 つの Fabric タスクごとに REST API、CLI、T-SQL、KQL、PySpark の知識をまとめた SKILL.md の集合です。AI ツールはセッション開始時にこれを読み込み、自然言語の指示に合うスキルの手順に従って動きます。スキル自体はコードを実行しない静的な知識です(Microsoft Learn)。

スキルと MCP サーバーの違い

観点 スキル MCP サーバー
目的 知識とパターンの提供 ライブデータへのアクセス
内容 Markdown のドキュメント 実行可能なサーバー
実行形態 AI のコンテキストに読み込まれる 別プロセスとして動作
例 「ウェアハウスへの問い合わせ方」 「この SQL を実行する」

Microsoft は、スキルが専門知識を、MCP サーバーがデータ接続を担い、両者を併用するのが最適としています。

対応ツール

ツール 導入方法
GitHub Copilot CLI プラグインマーケットプレイス(推奨)
Visual Studio Code ~/.copilot/ フォルダから自動検出(VS Code 1.108 以降)
Claude Code プラグインマーケットプレイス
Cursor リポジトリを clone(.cursorrules を自動検出)
Windsurf リポジトリを clone(.windsurfrules を自動検出)
Codex / Jules / OpenCode リポジトリを clone(AGENTS.md を自動検出)

想定される利用シーン

  • データエンジニア・開発者: 「NYC タクシーデータでメダリオン(Bronze/Silver/Gold)構成を作る」「SQL Server のストアドプロシージャを Fabric ウェアハウスへ移行する」「Git 統合とデプロイパイプラインを設定する」
  • データアナリスト・BI 開発者: セマンティックモデルの作成、Lakehouse のテーブル一覧とデータの鮮度確認、データセットのプロファイリング
  • 市民開発者・業務ユーザー: CSV から対話型ダッシュボード(ローカルの Python 製)を作る、四半期の製品別売上を問い合わせる、ワークスペース全体のドキュメントを生成する

エージェント特化機能(実験的)

プロンプトとツール選択を組み合わせた「専門チームメイト」が付属します。データエンジニアリング向けの FabricDataEngineer、管理向けの FabricAdmin、アプリ開発向けの FabricAppDev などで、提供されるエージェントは頻繁に変わります。リポジトリで確認できた 5 件と、導入で実際に使える 4 件は「エージェント一覧」にまとめています。

スキル一覧

リポジトリの skills フォルダには 25 のスキルがあり、fabric-skills に 24 スキル、powerbi-authoring に 2 スキルが入ります(semantic-model-authoring は両方に含まれ、powerbi-report-cli は powerbi-authoring のみです)。各スキルの SKILL.md には、隣接するスキルとの使い分けまで書かれています。

分野 スキル 主な役割
Spark・SQL spark-cli ノートブック(%%configure、PySpark、notebookutils)、Livy セッション、失敗した Spark 実行の調査、Materialized Lake View
Spark・SQL sqldw-cli ウェアハウス、Lakehouse の SQL エンドポイント、ミラーリング DB の DDL/DML、COPY INTO、Query Insights による性能診断
Spark・SQL sqldb-cli Fabric SQL database(OLTP)の T-SQL、dacpac デプロイ、Query Store 調査
リアルタイム eventhouse-cli Eventhouse と KQL データベースの作成・照会(テーブル、関数、ポリシー、取り込み)
リアルタイム eventstream-cli Eventstream のソース、演算子、宛先、ルーティング
リアルタイム eventschemaset-cli イベントの種類とペイロードスキーマを管理する Event Schema Set
リアルタイム activator-cli しきい値を超えたときに Teams やメールで通知する Activator のルール
リアルタイム azmon-mirroredcatalogs-operations-cli Azure Monitor と Application Insights のテレメトリを Eventhouse に取り込み、業務データと突き合わせる
BI・セマンティック fabriciq 既存の Power BI レポートやセマンティックモデルへの自然言語の質問に、DAX で答える
BI・セマンティック fabriciq-ontology-cli Fabric IQ のオントロジー(エンティティ、リレーション、データバインディング)
BI・セマンティック semantic-model-authoring セマンティックモデルのテーブル、メジャー、リレーション、DAX、更新、デプロイ
BI・セマンティック powerbi-report-cli レポートの計画、設計、PBIR/PBIP の作成、検証、公開、再バインド
データ統合・ALM dataflows-cli Dataflow Gen2 の作成、M の編集、更新履歴、Gen1 から Gen2 への移行
データ統合・ALM deployment-pipelines-authoring-cli dev/test/prod 間のデプロイパイプライン
データ統合・ALM git-integration-operations-cli Azure DevOps や GitHub との Git 統合(コミット、更新、競合解決)
データ統合・ALM variable-library-cli 環境ごとの値を切り替える Variable Library
検索・ガバナンス search-consumption-cli ワークスペースが不明なときの、テナント横断のアイテム検索
検索・ガバナンス onelake-catalog-govern-cli OneLake カタログの監査と是正(ドメイン、ラベル、タグ、説明)
移行 synapse-migration Synapse の専用 SQL プール、Spark、リンクサービスを Fabric へ
移行 databricks-migration Databricks のノートブックとジョブ(dbutils、Unity Catalog、DLT)を Fabric へ
移行 hdinsight-migration HDInsight の Spark と Hive、Oozie を Fabric へ
移行 pipeline-migration Synapse Data Factory のパイプラインを Fabric Data Factory へ
設計・コスト e2e-medallion-architecture Bronze/Silver/Gold のメダリオン構成の設計と構築
設計・コスト e2e-fabric-cost-estimation 移行前の容量(SKU)とコストの見積もり
その他 project-osmos 長時間かかるデータエンジニアリング作業を、リモートのサービスタスクとして実行・管理

使い分けの例として、Synapse のパイプライン JSON は pipeline-migration、Spark ノートブックのコードは synapse-migration、KQL のマテリアライズドビューは eventhouse-cli が受け持ちます。データへの質問は fabriciq、ユーザーが用意した DAX やメジャーの保存は semantic-model-authoring が担当します。

確認方法: エージェントと同様に、リポジトリを clone して main ブランチ(v0.3.18、2026-09-24)の SKILL.md の説明部分と、marketplace.json のバンドル定義を読みました。各スキルの手順本文までは読んでいません。

エージェント一覧

リポジトリの agents フォルダには 5 件のエージェント定義があり、プラグインの導入で使えるよう登録されているのは、そのうち 4 件です。エージェントは複数のスキルを呼び分ける司令塔で、単一のエンドポイントに深く関わる作業はスキルに委譲します。

エージェント 役割 主な委譲先 プラグイン登録
FabricAdmin 容量、ガバナンス、セキュリティ、コスト、可観測性、ワークスペースのドキュメント化 spark-cli、sqldw-cli、eventhouse-cli、eventstream-cli、semantic-model-authoring、fabriciq、dataflows-cli 登録済み
FabricDataEngineer Spark、ウェアハウス、パイプラインにまたがるデータエンジニアリング(メダリオン構成、ETL/ELT、データ品質) 上記に加え e2e-medallion-architecture、FabricMigrationEngineer 登録済み
FabricAppDev Python、ODBC、XMLA、REST API で Fabric につなぐアプリの開発 委譲先の一覧は定義に明記なし 登録済み
FabricIQ Power BI のレポートやセマンティックモデルへの質問に、実際の DAX クエリで回答 fabriciq スキルと FabricIQ MCP ツール 登録済み
FabricMigrationEngineer Synapse、HDInsight、Databricks から Fabric への移行(評価、フェーズ計画、コード移植) synapse-migration、hdinsight-migration、databricks-migration、spark-cli、sqldw-cli、e2e-medallion-architecture 未登録

定義から読み取れる運用ルール

  • FabricAdmin: 削除や容量の取り外しなど破壊的な管理操作の前に、明示的な確認を求めます。最小権限(既定は Viewer)を前提にします。
  • FabricDataEngineer: 広い依頼を細かく分け、dev/test/prod のパラメータ化を必須とし、メダリオン各層の間に検証を入れます。
  • FabricAppDev: az login と DefaultAzureCredential で認証し、パラメータ化クエリを使い、資格情報をコードに埋め込みません。
  • FabricIQ: データを創作せず、実際のクエリ結果だけで答えます。MCP ツールを呼ぶ前に skills/fabriciq/SKILL.md を必ず全文読む規則があります。
  • FabricMigrationEngineer: 評価、アーキテクチャ対応、環境構築、コード移行、検証、切り替えの 6 フェーズで進み、各フェーズの検証を通過してから次へ進みます。

登録状況の注意

  • fabric-skills、fabric-authoring、fabric-consumption、fabric-operations のいずれも、登録されるのは FabricAdmin、FabricDataEngineer、FabricAppDev、FabricIQ の 4 件です。powerbi-authoring はエージェントを含みません。
  • FabricMigrationEngineer は agents フォルダにありますが、プラグインの定義ファイル(plugin.json、marketplace.json)の一覧に載っていません。一方、FabricDataEngineer は移行の依頼をこのエージェントに委譲すると書いているため、マーケットプレイス経由の導入でこのエージェントが使えるかは未検証です。リポジトリを clone して使う場合は、定義ファイルが直接見えます。
  • 呼び出し方は、Copilot CLI で @FabricDataEngineer ... のようにエージェント名を前置するか、プロンプト中で名前を指定します。/agent で導入済みの一覧を確認できます(Microsoft Learn)。

確認方法: GitHub の画面は自動取得できなかったため、リポジトリを clone し、main ブランチ(CHANGELOG 上の最新は v0.3.18、2026-09-24)の定義ファイルを直接読みました。

導入方法と前提条件

GitHub Copilot CLI と Claude Code は同じプラグインマーケットプレイスの手順で導入でき、Fabric 全般用の fabric-skills と Power BI 用の powerbi-authoring は別プラグインです。全体をカバーするには両方の導入が必要です(Microsoft Learn: Install Skills for Fabric)。

  1. マーケットプレイスを追加: /plugin marketplace add microsoft/skills-for-fabric
  2. Fabric コレクションを導入: /plugin install fabric-skills@fabric-collection
  3. Power BI プラグインを導入: /plugin install powerbi-authoring@fabric-collection
  4. ツールを終了(/quit)して再起動
  5. /skills で導入を確認

インストール用バンドル

バンドル 内容
fabric-skills 全スキル(作成、参照、運用、移行、エンドツーエンド設計)。powerbi-authoring は含まない
fabric-authoring REST API、CLI 自動化、ノートブック、T-SQL、KQL、Dataflows Gen2、Eventstreams、セマンティックモデルの開発者向け
fabric-consumption 全ワークロードを横断する読み取り専用の探索・クエリ系
fabric-operations 性能と健全性の診断
powerbi-authoring セマンティックモデル作成、レポートの計画・設計・作成・管理、PBIP ワークフロー

--filter "sqldw-*" のように、ワークロード別に絞り込んで導入することもできます。

前提条件

  • 対象 Fabric ワークスペースでの操作権限
  • 対応する AI コーディングツール(Copilot CLI、Claude Code、VS Code、Cursor、Windsurf、AGENTS.md 対応ツールなど)
  • Azure CLI(多くの Fabric 操作で Azure 認証が必要。az login でサインイン)
  • Copilot CLI を使う場合は Node.js と PowerShell 7。Git は、マーケットプレイスを使わないツールでリポジトリを clone する際に必要
  • Power BI プラグインの場合は、レポートの作成・編集・公開権限のある Power BI テナントと、推奨として Power BI Desktop

Cursor、Windsurf、Codex などは、リポジトリを clone すると設定ファイル(CLAUDE.md、.cursorrules、.windsurfrules、AGENTS.md)が自動検出されます。

MCP サーバーとの連携

スキルは知識だけを持ち、実際のデータ接続は MCP サーバーが担います。プラグインには MCP の設定が同梱されており、fabric-skills は 3 つのリモート MCP を、powerbi-authoring は 1 つのローカル(stdio)MCP を登録します。

MCP サーバー 同梱先 接続先・形式 用途 主に使うスキル・エージェント
FabricIQ fabric-skills リモート HTTP(fabriciq.svc.cloud.microsoft)、ルーティングヘッダ X-VARIANTS が必須 Power BI レポートとセマンティックモデルの探索、DAX の生成と実行 fabriciq、FabricIQ エージェント
powerbi-modeling-mcp(リモート版) fabric-skills リモート HTTP(api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/powerbi/authoring) セマンティックモデルの作成・編集 semantic-model-authoring、powerbi-report-cli
fabric-sqlendpoint fabric-skills リモート HTTP(api.fabric.microsoft.com/v1/mcp/dataPlane/sqlEndpoint)、公開ツールは execute_query のみ ウェアハウスや SQL エンドポイントでの T-SQL 実行 sqldw-cli、synapse-migration
powerbi-modeling-mcp(ローカル版) powerbi-authoring stdio(npx -y @microsoft/powerbi-modeling-mcp@latest --start) 同上(Power BI Desktop 上のモデルにも接続) semantic-model-authoring、powerbi-report-cli

FabricIQ エージェントの定義によると、FabricIQ の MCP は DiscoverArtifacts、GetReportMetadata、GetSemanticModelSchema、ValueSearch、ExecuteQuery、ResolveFabricItem のツールを提供します。

スキルが MCP をどう使うか

  • sqldw-cli: 全モードで T-SQL を fabric-sqlendpoint の execute_query で実行します。このツールが見つからない場合は、その旨を伝えたうえで従来の CLI(TDS クライアント)にフォールバックします。ただし Capacity Metrics の相関分析だけはフォールバックせず、「ブロック」として報告します。
  • semantic-model-authoring: モデリング MCP が登録されていれば最優先で使い、なければ TMDL ファイルを直接編集し、どちらも使えなければ中止して導入を案内します。MCP 接続中は、ディスク上の TMDL が古いため読まないよう定められています。
  • fabriciq: MCP ツールを呼ぶ前に SKILL.md を全文読むことが必須です。

認証と設定

  • 共通: 既存の Azure CLI のサインイン(az login)を再利用します。3 つのリモート MCP は、同じ Fabric リソースのトークンで認証できます。
  • Claude Code: プラグインが Azure CLI の headersHelper を同梱しているため、トークンのコピーや新しい OAuth アプリは不要です。接続は claude mcp list や /mcp で確認します。導入の成功は、全 MCP の接続成功を意味しません。
  • Codex: 0.153.4 以降が必要で、~/.codex/config.toml に MCP を手動で登録します。AGENTS.md だけでは MCP は登録されません。
  • VS Code: ヘッダーヘルパーがなく、短命のトークンをプロンプト入力で渡します。ルーティングヘッダとトークンの両方が必須で、URL だけの登録は接続できても全呼び出しが失敗します。
  • ホスト型コネクタは対象外: この設定は、Claude や Codex が提供するホスト型コネクタ(claude.ai の Web 版など)を構成しません。

注意点

  • FabricIQ の接続先は v0.3.17(2026-09-17)で変更されました。旧エンドポイントやルーティングヘッダを手動で登録していた場合は、再登録が必要です。
  • fabric-skills のリモート版と powerbi-authoring のローカル版は同じ名前(powerbi-modeling-mcp)です。README は、すでに動作している stdio 版があれば、リモート版で置き換えないよう勧めています。
  • Microsoft Learn によると、環境が提供する場合は、Fabric MCP server など追加の MCP サーバーも登録できます。

確認方法: リポジトリを clone し、plugins/*/.mcp.json、mcp-setup/README.md、各スキルと FabricIQ エージェントの定義を読みました。実際に接続して動作を確かめてはいません。

プロンプト例

リポジトリの prompt_examples フォルダには、導入後にそのまま試せるプロンプトが 13 件あります。多くは NYC タクシーのデータを題材にしており、そのまま使うか、ワークスペース名やアイテム名を自分の環境に置き換えて使います。

例(ファイル名) 依頼内容 想定されるスキル
DocumentMyWorkspace ワークスペースを文書化する(1 行だけの短い指示) FabricAdmin、spark-cli など
NYC_AnalyzeExistingDataCreatePDF ウェアハウスのデータを分析し、月次指標、外れ値分析、3 か月予測を PDF にまとめる sqldw-cli
NYCTaxi_MedallionArchitecture 2025 年分のデータを取り込み、メダリオン構成で整形し、集約ビューとセマンティックモデルまで作る。デプロイ前にワークスペースを確認させる e2e-medallion-architecture、spark-cli、sqldw-cli、semantic-model-authoring
DashboardApp タクシー運転手向けに、月・曜日・時間帯別のチップの出やすい乗車場所を示す対話型ダッシュボードを作り、起動する FabricAppDev、sqldw-cli
Variables 新規ワークスペースと Lakehouse を作り、ノートブックでデータを読み込む。Lakehouse は Variable Library 経由で参照する spark-cli、variable-library-cli
FleetManagerReport 既存のセマンティックモデルから、フリート管理者向けのレポートを計画し、1 ページ目を作る。区ごとの行レベルセキュリティのフィルターも定義し、ロールのメンバー割り当ては別に管理する powerbi-report-cli、semantic-model-authoring
TaxiZonesDataflow 公開 URL の CSV を取り込み、列名を整え、Manhattan のゾーンに絞って Lakehouse に保存する Dataflow Gen2 を作る。公開前にプレビューする dataflows-cli
RealtimeTaxiEventstream Event Hub から Eventstream で取り込み、乗客ゼロの行を除いて Eventhouse へ流し、チップ率が下がったら Teams に通知する Activator ルールを作る eventstream-cli、eventhouse-cli、activator-cli
TaxiOntology Lakehouse のテーブルから、Trip、Zone、Vehicle、Driver のエンティティ、リレーション、テーブルへのバインディングを持つ Fabric IQ オントロジーを作る。デプロイ前にプレビューする fabriciq-ontology-cli
TaxiOpsSqlDatabase Fabric SQL database に、主キーと外部キーを持つテーブル、更新日時のトリガー、ストアドプロシージャを作り、ソース管理につなぐ sqldb-cli
GitIntegrationWorkflow ワークスペースを Git リポジトリに接続してコミットし、チームメンバーの変更の取り込みと競合解決を案内させる。書式だけの差分が出ないようにも指示する git-integration-operations-cli
DatabricksToFabric Databricks のエクスポートを、dbutils から notebookutils への置換、Unity Catalog からスキーマへの変換などで Fabric に移し、変更内容と自動変換できなかった点を報告させる databricks-migration
EstimateFabricCost 移行前に、現在のワークロードから容量 SKU を推奨し、Pay-As-You-Go と Reserved の比較と月額の内訳を出させる e2e-fabric-cost-estimation

「想定されるスキル」の列は、各プロンプトの内容とスキルの説明から調査者が推定したもので、ファイル自体には書かれていません。

プロンプトの書き方で共通している点

  • 作業前の確認を指示する: 「デプロイ前にどのワークスペースを使うか聞くこと」と明記する例が複数あります。Microsoft Learn の導入ページも、意図しないワークスペースへの操作を避けるため同様の指示を勧めています。
  • 公開前にプレビューさせる: Dataflow やオントロジーでは、公開・デプロイの前にプレビューを求めています。
  • 成果物と範囲を明示する: PDF、起動済みのアプリ、移行レポートなど出力の形を指定し、FleetManagerReport のようにロール割り当てを依頼の範囲外と明記する例もあります。

確認方法: リポジトリを clone し、main ブランチ(v0.3.18、2026-09-24)の prompt_examples 内の全 13 ファイルの冒頭を読みました。

関連プロジェクト

Power BI 向けスキルは、別製品ではなく同じ Skills for Fabric マーケットプレイスの powerbi-authoring プラグインとして配布されています。コミュニティ製のスキル集も複数あります。

Power BI 向けスキル(プレビュー)

  • powerbi-report-cli(統合後のスキル): リポジトリの CHANGELOG によると、v0.3.17(2026-09-17)で powerbi-report-authoring、powerbi-report-design、powerbi-report-management、powerbi-report-planning の 4 スキルが、この 1 つに統合されました。依頼内容に応じて、計画、設計、PBIR/PBIP の作成・検証、Fabric への公開・管理の各モードを選びます。旧名のスキルを名前で固定している場合は、名前の変更が必要です。
  • Power BI Report Authoring skill(Microsoft Learn): PBIR/PBIP 形式のレポート定義(ページ、ビジュアル、フィルター、書式、テーマ)を自然言語で作成・変更・検証します。PBIP ファイルのみが対象で、プレビューです。Learn の説明は旧名の powerbi-report-authoring を前提にしているため、統合後の名称との対応に注意してください(Microsoft Learn)。
  • 役割分担: セマンティックモデル(テーブル、列、メジャー、DAX)は Power BI Authoring MCP server、データ照会は Fabric IQ MCP server、レポート層は上記スキルが担当します。

コミュニティ製(検索結果で確認、中身は未検証)

  • data-goblin/power-bi-agentic-development: Power BI と Fabric 向けのスキル、サブエージェント、フックを集めたマーケットプレイスで、Claude Code と Copilot CLI に導入できるとされています。
  • PatrickGallucci/fabric-skills: Fabric の Data Agent、Lakehouse・Spark の性能改善などを扱う個人製のスキル集です。

報道・解説記事

Enterprise DNA は、Microsoft が Fabric Skills を GitHub Copilot、Claude、CLI 向けに公開し、Claude が Power BI レポートの作成やデータ照会を直接行えるようになったと紹介しています。SQLServerCentral の Build 2026 まとめも、Fabric Skills と Power BI 向けの Agent Skills を別の発表として整理しています。

留意点とリスク

  • プレビュー段階の機能がある: Power BI Report Authoring skill はプレビューです。本番利用の前に仕様変更と制限を確認してください。
  • ドキュメント間で記述に差がある: 概要ページには、スキルは Fabric アイテム定義やデータ移動コードを生成するが、完成した Power BI レポートの描画は現時点で行わないとの注記があります。一方、powerbi-authoring プラグインは PBIR/PBIP 形式のレポート作成を扱います。両者は対象範囲が異なる可能性があります。実際、リポジトリは v0.3.17(2026-09-17)と v0.3.18(2026-09-24)で Power BI 用スキルの統合や拡充を行っており、名称や構成は短期間で変わります。導入時に最新の説明を確認する必要があります。
  • 誤ったワークスペースへの操作: ワークスペースを明示しないと、意図しない場所で作業が行われることがあります。プロンプトに「変更前に使用するワークスペースを確認すること」と加えるのが推奨されています。
  • 自動実行の危険: /yolo コマンドは確認なしで操作を実行させます。リソースの作成やデプロイでは、まず Plan モードで計画を確認してから Autopilot モードに切り替えるよう公式が注意しています。
  • PBIP ファイルが正: レポート作成スキルは PBIP ファイルのみを対象とし、PBIR ファイルを情報源として扱います。Power BI Desktop の未保存の変更は反映されないため、事前に保存し、変更前の状態をコミットしておくと戻せます。
  • 必要な権限: Fabric キャパシティの Contributor または Admin 権限が必要になる場面があり、キャパシティが一時停止中だとエラーになります。
  • 非公式スキルの品質: コミュニティ製は公式の保証がないため、導入前にコードと権限の使い方を確認してください。
  • 用途別バンドルの中身が同じに見える: Microsoft Learn は fabric-authoring、fabric-consumption、fabric-operations を用途別の絞り込みバンドルと説明しています。しかしリポジトリの marketplace.json(v0.3.18)では、この 3 つと fabric-skills が同じ 24 スキルと同じ 4 エージェントを登録していました。導入して中身を確認したわけではないため、実際の挙動は未検証です。絞り込みたい場合は、--filter "sqldw-*" のようなワークロード別の指定の方が確実かもしれません。

調査範囲と未確認の事項

  • 別の意味の「Fabric Skills」: 検索では、手芸・テキスタイル分野の Fabric Manipulation Skills(スモッキングやタック、絞り染めなど生地加工の講座)も多く見つかりました。本レポートの対象外です。Microsoft Fabric の資格・学習(DP-600、DP-700 など)を指す場合は、別途の調査が必要です。
  • 未確認の事項: 提供されるスキルの完全な一覧(Discover available Skills for Fabric)、GitHub リポジトリの更新頻度、実機での動作検証は、いずれも今回確認していません。

出典

公式ドキュメントは本文を開いて確認したものです。GitHub リポジトリは clone して定義ファイルと CHANGELOG を直接確認しました。コミュニティ・解説記事は検索結果の要約のみを確認しました。